息軒の思想を学ぶ…安井息軒記念講演会

 9月23日(月・祝)、台風一過の鮮やかな青空が広がり、開催を心配していた記念講演会も予定通りに実施されました。本年度は中国湖南大学嶽麓書院 特聘副教授の青山大介先生をお招きしました。哲学・思想という視点から、息軒先生とその弟子である井上毅との関わりについて講演いただきました。息軒先生は西洋の学問にも理解がありましたが、明治6年(1873)にキリスト教禁教を解除するころに著作『弁妄』を著しました。これは、息軒先生がキリスト教を批判した書物ですが、さまざまな反響がありました。薩摩藩の島津久光は『弁妄』に序文を寄せ、息軒先生の意見に賛成・称賛しています。また、キリスト教信者は息軒先生の洞察のある説明に感嘆し、キリスト教支持者をもうならせたと言われています。

 息軒は中国の書物をたくさん読破していますので、中国の思想・倫理観念も自然と受け入れました。その中に「忠孝」という考え方があります。領主や親、目上の人などを敬い大切にすることを意味しますが、これを歴史主義的倫理観として息軒は捉えます。神(宗教)や天理(自然主義)から派生するものではなく、歴史の枠組みの中で習慣化し定着する民族固有の概念であることを基軸とします。この考え方を継承するのが三計塾の弟子でもある井上毅です。井上毅は「教育勅語」の起草者ですが、教育とりわけ道徳の分野でも「忠孝」を重要視しています。忠孝観念が師弟を結びつける要因などを『弁妄』からひも解くという、非常に深い内容でしたが、息軒の思想について学ぶ機会が少ないだけに大変よい学びをさせていただきました。

2019年09月25日